「人売りitはやめとけ、と聞いたけど・・」
「人売りitから内定を貰ったけど辞退した方が良いかな?」
人売りitとは、客先常駐でITエンジニアを派遣するブラックなSESのことです。
SES企業自体が悪だと言う人もいますが、SESには良い会社も悪い会社もあります。また、現実問題として特に未経験からIT業界に転職する場合、良いSES企業は最有力な選択肢となります。
そのため、人売りitを避け、良いSESをいかに選ぶのかも重要です。
»【SESの優良企業ランキング・トップ100】中小から大手まで網羅
本記事では以下のような内容について説明します。
なお、未経験からのエンジニア転職志望者が増えていることを気にしている人は「未経験エンジニアが増えすぎ?転職できる?将来性は?」をご覧ください。
本記事の内容
- 人売りitの意味と問題点、将来性
- 人売りitの見分け方
- 人売りitからの脱出方法
人売りitではなく、SIerやWeb系(自社開発)などに転職するためにはしっかりとしたITスキル、特にプログラミングスキルを身に付ける必要があります。
そのためにはプログラミングスクール通学をおすすめします。
人売りitと言われるSESとは何か?
人売りitとはブラックなSESのことです。そして、SESとはSystem Engineering Serviceの略で、簡単に言うと客先常駐のことです。
派遣と良く似ていますが、厳密には契約形態が異なります。派遣は派遣契約、SESは準委任契約と言う契約形態です。
派遣契約と準委任契約は全く異なりますが、本記事では詳しく説明しません。なぜなら、働く立場から見た問題の本質は契約形態にはないからです。
人売りit(ブラックなSES)の問題点とは?
SESにもホワイトな会社とブラックな会社があります。全てのSESが人売りitと言うほど、酷いわけではありません。
この図の通り、SESは顧客から直接仕事を依頼される一次請、一次請から仕事を依頼される二次請、二次請から仕事を依頼される三次請と言った具合に多重下請構造になっています。この例では三次請までですが、実際は五次請・六次請と言ったこともあります。
顧客から依頼を受けた一次請は業務内容を見て仕事を自社で受けるかどうかを決めます。受けない場合は手数料を取った上で二次請に依頼します。二次請も一次請と同様に、自社で受けるかどうかを検討し、受けない場合、手数料を取って三次請に依頼します。以降は同様です。
このような構造にあるために一次請など上位のSESは仕事を選ぶことができ、高単価ですが、下位のSESは条件の悪い仕事を低単価で請け負わなければなりません。SESのデメリットとして上げられる、スキルアップや年収アップが難しいと言ったものは特に下位SESの問題点です。
上位のSESはホワイトで下位に行けば行くほどブラック(=人売りit)になります。
このような構造的な問題があるため、人売りitに就職してはいけません。
人売りit(ブラックなSES)の見分け方
人売りitの見分け方は3つあります。
1点目でSESかどうかを判断できます。2点目・3点目でSESの中でも、その会社が人売りitなのかどうかを判断できます。
勤務地がプロジェクト先やクライアント先となっている
勤務地がプロジェクト先やクライアント先となっている場合、SESであることは間違いありません。
問題はここまで説明してきたようにブラックかどうかで、ここから説明する2点で判断できます。
年収で見極める
一つ目は年収を比較することです。
下位になればなるほど年収帯が下がります。そのため、SES同士を比較する場合は年収を見ると良いです。
採用費用で見極める
二つ目は採用費用を比較することです。下位のSESは従業員の給料を多く支払えませんし、採用にお金を掛けられません。
と言っても採用費用を直接比較することはできないので、求人媒体の広告費用を比較しましょう。
以下は主だった求人媒体の広告費用(1職種1週間掲載)です。
リクナビNEXTが突出して高く、wantedlyが逆に突出して安いのです。
特にwantedlyには「給与」・「労働時間」・「福利厚生」・「雇用形態(正社員、契約社員等)」が記載されていないため、注意が必要です。
ブラックな会社にとって、これほど都合の良いサービスはありません。「給与」、「労働時間」、「福利厚生」、「雇用形態(正社員、契約社員等)」などを書くとブラックなことがバレるためです。
wantedlyは「共感で仲間とつながる」ことを大切にしているため、「給与」等の条件を記載しないとのことです。
なお、wantedlyに掲載されているのは人売りitばかりと言っている訳ではありません。悪い会社を見抜きづらい仕組みだと言っています。
このように掲載されている求人媒体から人売りitを推定することもできます。
人売りitを含めたSES企業自体に将来性はあるのか?
二つの観点で説明します。
SES企業に将来性はあるか?
人売りit(下位のSES)には将来性はありません。
人売りitは他社が手掛けないような低単価でスキルも身に付かないような案件ばかりを手掛けているためです。ここまで説明してきたとおりです。
一方、上位SESは仕事が選べ、高単価を維持できるため、SES(客先常駐)ビジネスに将来性があれば、安泰と言えます。
SES(客先常駐)と言うビジネスに将来性はあるか?
これまで通り、一定の需要はあり続けると思います。
ITR「IT投資動向調査2015」によると、一般企業について、システム部門の正社員比率は2~3%程度とのことです。100名の会社でシステム部員は3名となります。
システム部門では社内のあらゆるITに関連する業務を取り仕切っていますが、この人数では対応し切れません。そのため、SESに業務をお願いするわけです。
日本企業がシステム部門の人員を大幅に増強しない限り、SESへの依頼がなくなることはないでしょう。
人売りIT(ブラックなSES)を脱出できないと、どうなる?
もし、人売りITにいるなら、脱出・転職を考えた方が良いです。そのまま、頑張っても報われません。
転職しないと以下のようになります。
スキルアップできないから、転職できないし、年収が上がらないと言うことになります。IT系職種はどこからスタートしてもスキルさえあれば、ステップアップして行けます。
しかし、それはスキルアップできる環境に身を置くことが大前提です。人売りITに身を置くとスキルアップできません。
スキルアップしない
ここまで説明してきたようにSES業界は多重下請構造にあるため、良い仕事は1次請・2次請のSESが請け負い、3次請以降の人売りITに所属すると、スキルアップするような良い仕事は残っていません。
そのような環境で仕事をしてもスキルアップは望みにくいのです。
転職できない
スキルアップできなければ、より良い環境に転職することもできません。ブラックな環境から抜け出すことができません。
しかし、転職(脱出)する方法はあります。「 人売りitからの脱出方法 」で説明します。
年収が上がらない
人売りITでは単価の低い仕事しか、受注できないため、所属し続けても年収は上がりません。
年収を上げるには転職するしかありません。脱出方法は 「 人売りitからの脱出方法 」で説明します。
帰属意識が低くなる
帰属意識とは、その会社に所属していると言う感覚のことです。帰属意識が高いと仕事に対するモチベーションや愛社精神が高まると言われています。
人売りITに所属していると、勤務先は派遣先になります。そのため、同僚社員と顔を合わせる機会は多くて月一回、少ないと3~6ヶ月に一度程度になります。
このような環境では所属先に対する帰属意識は低くなるばかりです。その結果、仕事に対するモチベーションが上がらなくなるのです。
人売りit(ブラックなSES)からの転職の成功失敗事例
ここでは人売りitからの転職の成功事例、失敗事例を紹介します。成功事例を見習い、失敗事例のようにならないように気を付けてください。
ヘルプデスクから派遣先に引き抜かれた25歳男性の例
20歳のときにミュージシャンになる夢をあきらめ、未経験から人売りitに就職しました。
初めての派遣先ではヘルプデスクとして働いていました。PC操作のサポートからはじまり、徐々に信頼を得た上でサーバなどのインフラ管理を任されるようになりました。
業務内容が明確に決まっていなかったことが幸いし、信頼を得るのと合わせて様々なスキルを身に付ける機会に恵まれました。また、派遣先の飲み会があると必ず呼ばれていたため、顔も広く知られていました。
こう言ったスキル面とヒューマンスキルが評価された結果、彼は派遣先に引き抜かれ、年収も150万円アップしました。
派遣先での評価が高ければ、このようなケースも起こり得ます。
インフラ運用として転職に成功した33歳男性の例
データセンターの監視担当から30歳のときに人売りitに転職しました。
派遣先では様々な業務を行ったものの、サーバやNWの管理を主に担当していました。一通り、必要な知識・スキルを身に付けたときに33歳となり、35歳を目前に控え、一念発起してSIerに転職しました。
SIerからは、派遣先のサーバやNWの管理等のインフラ運用の経験・スキルを評価されての転職成功でした。
ヘルプデスクのまま、人売りitにとどまっている35歳男性
大学を卒業して人売りitに就職後、ヘルプデスク担当として派遣先を転々としていました。
派遣先の社員のPC環境に精通し、各自の端末に入っているソフトウェアも把握しているなど、生き字引のように重宝されていました。
しかし、同じ仕事の知識は増えていくものの、スキルアップや仕事の幅を広げることに熱心ではなかったために、単価も低く、年収も上がりにくいヘルプデスク業務からステップアップすることはできませんでした。
結果、いまだに人売りitから様々な派遣先を転々としています。
現在の業務内容を元にチャンスを見つけて転職していく行動力があれば、人売りitから事業会社やSIer、Web系企業などへステップアップしていくことも可能になります。
人売りit(ブラックなSES)からの脱出方法
ここでは人売りitからの転職方法について説明します。
上位のSESにいれば一定のスキルが身に付くので、ある程度、自由に転職できます。一方、人売りitではそうはいきません。
と言ってもチャンスはあります。常駐先は3年程度で変わっていくため、求人需要のある業務に携わったら、すぐに転職活動をすると良いのです。転職では直近の業務内容が重視されるためです。
求人が多い業務については求人サイトに登録して定期的にチェックしておきましょう。
リクルートの調査によると、転職活動の成功者は平均3.4の転職エージェントに登録していました。
おすすめの転職エージェントのおすすめ3点セットは以下の通りです。
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