「SIerとWeb系って、どっちが良いんだろう? どう違うんだろう?」
「SIerとWeb系って、どんな人が向いているんだろう?」
ネット上ではWeb系が最高と言う記事を良く見かけますが、SIer・Web系共に向き不向きがあります。
そう言った向き不向きを理解せずに転職すると、すぐに辞めることになりかねません。
本記事の内容
- SIerとWeb系の違い
- SIerとWeb系それぞれに向いている人の特徴
- SIerからWeb系、Web系からSIer、未経験からSIer/Web系、の転職の注意点
私はSIerとWeb系の両方を経験したため、それぞれのメリット・デメリットが良く分かります。
本記事を最後まで読んで、SIer/Web系の特徴を理解した上で転職先を決めて下さい。
なお、未経験からのエンジニア転職の志望者が増えていることを気にしている人は「未経験エンジニアが増えすぎ?転職できる?将来性は?」をご覧ください。
なお、未経験からエンジニアへの転職方法については以下の記事をご覧ください。
より希望に合うSierやWeb系の企業に転職するためには、しっかりとしたスキルを身に付けることが大切です。
しっかりとしたITスキルであるプログラミングについて学ぶためにはプログラミングスクール通学をおすすめします。
SIerとは?
SIer は、企業顧客の依頼に沿ったシステムの設計・開発・保守を行う企業の総称です。大手企業を例に上げると、NTTデータや富士通、NECなどです。
日本のIT業界では最も規模が大きく、ビジネスとしても安定した業態です。
SIer業界はピラミッド型の階層構造になっており、上位の大手企業と下位の企業では仕事内容も収入も大きな違いがあります。
そのため、下位企業にいるエンジニアはSIer業界自体を悪く言うことが良くあります。
しかし、本人の努力次第でステップアップして、より上位の企業に転職することが可能な業界です。
Web系企業とは?
Web系企業とは、Webを使った自社サービスを提供している企業のことです。大手企業を例に上げると、リクルートやYahoo、楽天などです。
比較的、新興企業が多く、浮き沈みの大きい業態です。
SIerとの最も大きな違いとしては、各サービスで業界1~3位になっていなければ生き残れないと言う点です。例えば、検索連動型広告ではGoogleがナンバーワンですが、シェア7割以上を誇ります。
Google、Facebook、Amazonなどの超大手の勝ち組のおかげで、将来性の大きな業界のような印象があると思いますが、そう言った一部企業を除くと、従業員数100人にも満たない零細企業が多い業界です。
SIerとWeb系の5つの違い
SIerが企業向けシステム開発を行っているのに対して、Web系企業は主に個人向けのサービスをWebを介して行っています。
SIerとWeb系企業の違いは、対象顧客や事業内容の違いに起因しており、大きく5点あります。
年収・給与面
業界最大手を比較すると、Web系の方がSIerよりも高年収です。
SIerはNTTデータや富士通などで年収1000万円を超えてくるのが40歳前後なのに対して、Web系のリクルートやDeNA、メルカリなどでは20代で超えるケースは珍しくありません。
しかし、そう言った超大手を除くと、SIerの方がWeb系よりも高年収な会社が多いです。
SIerは上位・中位・下位と幅広く、会社があります。一方、Web系は超大手を除くとほとんどが社歴10年未満で従業員数100名に満たない零細企業が多いです。
また、SIerは顧客が企業で収益がある程度安定するのに対して、Web系はサービス自体を模索しているケースも多いため、安定していません。
私が知っている例では、EC(電子商取引)系ベンチャーの雄と言われていた会社は従業員数100名程度で、そのほとんどが年収500万円未満でした。その会社は超有名企業ですが、利益率の低いEC系企業は多くの場合、低年収です。
スキル
SIerは顧客企業と協同してシステム開発を行っていくため、コミュニケーションスキルが特に重視されます。技術スキルについては一つの領域を深く、狭く、極めて行くことが求められます。
SIerでは上位企業ほどコミュニケーションスキルを重視し、中位から下位になるほどプログラミングスキルを重視する傾向にあります。上位企業でも20代など比較的若いうちにプログラミングを行う機会がありますが、30代以降はマネジメント中心になります。
一方、Web系は少人数のチームでサービス開発・運営に携わるため、インフラからアプリまで幅広い知識が重視されます。インフラからアプリまで広く浅く理解したエンジニアをフルスタックエンジニアと呼び、Web系企業では重宝されます。
キャリア
SIerでは20代では開発実務や保守運用など、プロジェクトの下流工程を担当し、徐々に上流工程の経験を積み、プロジェクトリーダー・プロジェクトマネージャーなどの管理業務にキャリアアップして行くのが一般的です。
Web系は新興企業が担当業務を広げ、最終的にはインフラからアプリまで幅広く分かる、フルスタックエンジニアになるのが期待されています。管理業務よりも自身で対応する「手を動かす」スキルが求められています。
業界の将来性
SIer業界は今後も成長が見込まれています。
しかし、業界自体の抱える問題として上位企業と下位企業の格差があります。下位企業に入った場合は、上位企業にステップアップして行くのが良いでしょう。
Web業界も今後の成長が見込まれています。
しかし、超大手と言われる企業のほとんどがGoogle、Facebook、Amazonなどの外資系です。日系のWeb企業で安定的に成長している会社は多くはないため、企業選びが重要です。
職場環境や服装
SIerは多くの企業で平均年齢が高く、服装もスーツが基本なので落ち着いた雰囲気の会社が多いです。
一方、Web系は多くの企業で平均年齢が若く、服装も自由なので、大学のサークルのような明るい雰囲気の会社もあります。私がいたリクルートはそのような感じでした。
20-30代にとっては職場環境も服装もWeb系企業を好む人が多いかもしれません。
SIerとWeb系のどちらに向いている?
SIerとWeb系のどちらが良いかは向き不向きが大切です。
SIerよりもWeb系が圧倒的に良いと言っている人は、その多くがフリーランスです。
フリーランスになるタイプの人にはWeb系の方が合っているのは間違いないでしょう。しかし、全員がそう言ったタイプばかりではないため、自分に合うのがどちらなのかを見極める必要があります。
SIerに向いている人の特徴
SIerに向いている人の特徴は以下4点です。
これら4点に共感する人はWeb系よりもSIerに向いています。それぞれの特徴について説明します。
大規模で社会的に影響のあるシステム開発に取り組んでみたい
SIerの顧客は企業や官公庁なので、社会的な影響力のあるシステムの開発に携わるチャンスがあります。大規模なシステムはたくさんのSIerが共同で開発するため、その一員に名を連ねる形になります。
例えば、私たちが日常利用するスマートフォン。この料金請求を行うシステムも大手SIerが開発しています。
そう言った大規模で社会的に影響のあるシステム開発に取り組むことに誇りを感じられる人にはSIerが向いています。
計画を立て、それに沿って仕事を進めたい
SIerが行うシステム開発は顧客と協同して行うため、計画を立て、それに沿って進めます。
システム開発のプロジェクト全体の計画を個人に割り振るため、個々人が計画的に仕事を進めることができます。
こう言った計画的に仕事を進めるのが好きな人にはSIerが向いています。
業績の安定した会社で計画的にキャリアアップしたい
SIerは比較的、業績の安定した会社が多いです。なぜなら、システムを開発・納品した顧客とは比較的、長いお付き合いになるケースが多いためです。
また、仕事内容もある程度、体系化されているため、研修を受けながら計画的にキャリアアップを行うことができます。
行き当たりばったりではなく、計画的にキャリアアップしたい人にはSIerが向いています。
40代以降も安心して働ける会社で働きたい
SIerは年功序列の会社が多いです。
年功序列は特に20代前半の頃には不満を抱えるものです。
「○○は仕事してないのに、自分の倍以上の給料を貰っている」など。
逆にWeb系企業は40代以上の社員がほとんどいないことも珍しくありません。私が勤めていたリクルートは32歳定年説と言われるくらいに社内には20代の若い人しかいませんでした。
どちらが良いかは人それぞれですが、40代以降も安心して働ける会社を望んでいるのであれば、SIerが向いています。
Web系に向いている人の特徴
Web系に向いている人の特徴は以下4点です。
これら4点に共感する人はSIerよりもWeb系に向いています。それぞれの特徴について説明します。
サービスの開発と改善を行ってみたい
企画担当とサービス立ち上げの初期段階から検討を行い、自身で開発・リリース後、顧客の声が届くと満足感・やりがいを感じられるのがweb系の醍醐味です。
SIerでは開発・納品すると、次の開発現場と言うことも珍しくないため、こう言った満足感・やりがいを感じる機会は余りありません。
SIerは顧客の要望に沿ったシステム開発を行うことを求められます。一方、Web系は、サービス開発担当者として、どうすれば顧客に満足して貰えるのかを考えることが重視されます。
こう言ったサービスの開発と改善を行ってみたい人には、Web系が向いています。
毎日事件が起きる環境で仕事を行いたい
ある有名なEC系ベンチャーとの協同事業で働いていた時に、そのベンチャー社長が
「Web系ベンチャーでの仕事は、ジョットコースターのような毎日がマラソンのように続く」
と言っているのが印象的でした。
その協働事業では毎日事件が起きていました。
こう言った環境で働くことには向き不向きもありますし、年齢も若い方が合っていると思います。
そう言った毎日事件が起きるような環境で仕事がしたいと言う人にはweb系が向いています。
キャリアアップよりも日々の仕事を楽しみたい
web系企業での仕事は変化が激しいため、計画的にキャリアアップすることは難しいです。
毎日の仕事を一生懸命に頑張る中で他社から評価されるような人材になっているかもしれませんし、そうならないかもしれません。
しかし、そう言ったキャリアアップよりも日々の仕事が刺激に満ちあふれ、楽しみたいと言う人はweb系に向いています。
逆に計画的にキャリアアップしたいのであれば、SIerの方が向いているでしょう。
40代以降のことは40代になってから考えたい
多くのweb系企業は社歴が浅いこともありますが、20代30代がほとんどで40代以降の社員がいないことも珍しくありません。
私が以前勤めていたリクルートでは32歳定年説などと言われ、30歳になると次のキャリアのことを真面目に考えるように言われたものでした。多くのweb系企業も同じようなものです。
しかし、先のことは考えても分からないため、40代のことは40代になってから考えようと言う志向の人はweb系に向いています。
SIerとWeb系への転職
次の3つのケースでの転職について説明します。
SIerからWeb系への転職
SIerからWeb系に転職すると、会社の雰囲気や服装から仕事の進め方までガラっと変わります。私も富士通からリクルートに転職した際は戸惑いましたが、慣れると快適なものでした。
注意が必要なのは、Web系からSIerに戻るのは結構、大変ということです。
Web系は超大手を除くと業績が安定しなかったり、給料が全く上がらない一方で、労働時間が長い会社も多いため、SIerへの出戻りを希望する人も多いです。
その際、年齢が28歳を超えているとSIerへの出戻りも簡単にはできないため、注意が必要です。
また、Web系への転職については「Web系はやめとけ!|転職前に押さえておきたいデメリットを解説」も参考にしてください。
Web系からSIerへの転職
身に付けているスキルと年齢次第ですが、案外、簡単には転職できません。
以下のような違いがあるためです。
スキル | 仕事の進め方 | |
---|---|---|
SIer | ・狭く、深いスキル | ・計画を立て、経過を文書に残す ・互いにコミュニケーションを取りながら、チームで仕事を進める |
Web系 | ・浅くても広いスキル | ・スピードと柔軟性を重視して開発を行う ・文書作成などの管理業務には時間を割かない ・業務範囲が広く、個人で一通りの業務に対応する |
Web系からSIerに転職するためには、SIerに求められるスキルを理解して身に付けると良いでしょう。
未経験からSIerまたはWeb系への転職
未経験者の転職ですが、SIerは採用していますが、Web系はほとんど採用していません。
SIerは事業が安定している会社が多いため、未経験者を採用して教育する余裕があります。一方、Web系は小規模な会社が多く、即戦力が求められているため、未経験者の採用は多くありません。
未経験者からWeb系に転職したいのであれば、まず、SIerに転職してから目指すと良いでしょう。
リクルートの調査によると、転職活動の成功者は平均3.4の転職エージェントに登録していました。
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